@article{oai:nuk.repo.nii.ac.jp:00000358, author = {金, 星}, issue = {2}, journal = {九州地区国立大学教育系・文系研究論文集, The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 油症は人類が初めて経験したPCBs及びPCDFs集団食中毒事件である。世界中で、発生したのは日本と台湾だけである。本論は、カネミ油症と台湾油症について、長期に及ぶ大規模な健康被害の社会的事象として、主に油症患者の症状、食中毒事件としての油症認定問題の2つの面に着目して、共通の問題を中心に考察した。まず、カネミ油症と台湾油症の概要を述べる。次に、油症被害者及び支援者十数名に直接聞き取り調査を実施し、文献及び現地で入手した一次資料等を参考にして、健康被害について、油症問題の長期に渡る、治療困難性及び胎児性患者の存在などの特徴を考察した。その結果、両油症事件はおそらくほぼ同一レベルのダイオキシン汚染による中毒症状とみなすことができるであろう。次いで、食中毒としてのいわゆる「認定基準」や「患者登録」について考察した。両油症事件は、環境汚染を経由しないので法律上の「公害」ではなく、法的な位置づけとしては食中毒事件である。しかし、油症は慢性疾患である点などが公害に類似しており、マスコミや市民運動などから「食品公害」と呼ばれることが少なくない。一方、現在の日本及び台湾には、食品公害の被害に対応するための法制度が存在しないため、認定問題について学問的に適切な解決策(原因食品摂取の確認と1つ以上の症状が判定要件)を検討した。最後に、油症に関係する様々な分野で聞き取り調査をした結果をまとめて、カネミ油症と台湾油症被害の補償がまだ不十分であるなどの現状を明らかにした。日本と台湾は異なる社会的背景を持つ。しかし、2つの油症事件については、いまだに未知の部分が多いことが現実である。さらに、先行研究において、カネミ油症事件と台湾油症事件の比較研究は非常に少ないので、この両事件の比較研究が必要である。本論は、カネミ油症と台湾油症の比較考察への第一歩に位置づけられる。, 本論文は「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.5, No.2(2018/3)に査読を経て受理された。}, volume = {5}, year = {2018} }